植樹式 外旭川保育園(日本・秋田県)

秋田は東北でも珍しい戦争による空襲のあったところです。しかしそのことも今は忘れられています。戦争体験の薄い秋田で育つこども達に戦争の記憶を伝え、秋田のいろいろな世代の人々が平和を考えるきっかけにしたい。外旭川幼稚園ではこうした考えから、園長先生を中心に植樹体制が発足。実行委員会に植樹を申し込んできてくれました。
幼稚園では園児全体が参加できるイベントとして、苗木の愛称命名や、10年後に開封するタイムカプセルを用意し、そこへこども達の描いた絵などを入れる植樹式を計画。植樹式の最後には、全校園児が平和を願っていっせいに風船を空に放ち、みんなでその行く末を見つめました。こうした幼稚園の植樹式に応えて、こども達と柿の木を結ぶパフォーマンスを行ってくれたのはストリングラフィ(糸電話を張り巡らした空間で演奏行為をするもの)アーティストの水嶋一江さんです。実際に植樹する苗木を中心に、幼稚園の体育館全体を使ってたくさんの糸電話を張り巡らし、「10年後の柿の木」の姿を現すインスタレーションを作りました。当日は水嶋さんがお手本として糸をこすって音を出すと、こども達も興味津々。各自なりのやりかたで、一斉に小鳥のさえずりのような音を奏で始めました。そのやりとりは、まるで苗木が大きくなって、その木とこども達が交信しているかのようでした。「こども達が柿の木に出会い、身近な存在として感じてくれたら・・・」と、水嶋さんは考えたそうです。そして「この糸電話でできた大きな柿の木のように、苗木が大きくなるときにまた会えるように」、こども達に向かって水嶋さんはそう語りかけました。この日響いた柿の木の美しい音色は、透き通るようなメッセージとなって参加者の心の奥にしまい込まれました。

2007年7月26日、外旭川幼稚園で10周年祭が行われました。当時の年少(中学2年生)、年中(中学3年生)、年長(高校1年生)のこども達が保育園で再会しました。10年前の植樹式の際に埋めたタイムカプセルを開け、その後、教室内で当時の先生から成長したこども達に、掘り起こされた絵などが手渡されました。こども達はびっくりしたように当時をふり返り、柿の木の意味を改めて考える一日となりました。
外旭川保育園 10周年祭

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