クンストバンクのシモン・サーレンさんとリカ・コルパートさんはフランス・リールで開催された「あきまへん」展で紹介された柿の木プロジェクトの展示を見て、植樹を希望されました。打ち合わせのため、植樹前に来日もされています。クンストバンクは美術館での企画のほかに、教育プログラムとして移動展示&ワークショップのプロジェクトをベルギー全国に対し実施しているグループです。
植樹式に合わせて事前に6つのワークショップが3日間にもわたり開催されました。クンストバンクでインターン中のリーさんは「ボーン(木)!ボン(原爆)!」と力強い声で『柿の木親子』の紙芝居を演じ、子どもたちをひきつけました。三嶋りつ恵さんによる「あなたの柿の実を折ろう」では柿の実折り紙を折りました。折った柿の実には名前を書いて、穴をあけ、緑の糸で可動式の木の形をした台に吊るしました。シモンさんによるワークショップ「Colourful wishes」では「平和って(なんだろう)?」と子どもたちに語り掛け、こどもたちはその答えをフラマン語で柿色の短冊に書き、2枚目を実行委員が日本語に訳して書きました。その後、短冊は折り紙と同じように台に吊るしました。短冊には「人をきらわないで、いつも人を愛すること」、「平和、戦争がないこと、たくさんの友達」、「友情、戦争がないこと!!!!」などの言葉が書かれています。
毎年5月8日はベルギーの「終戦を祝う日」です。この特別な日に合わせて被爆柿の木2世の植樹式が開催されました。植樹場所は市内にある日本庭園の日当たりの良い緑地。周囲にはアーティストのシニカさんによるインスタレーションが展開され、木々につけられた大型のリボンが柿の木を歓迎しています。式典にはハッセルト市長、クンストバンクのスタッフ、アーティスト、こども達を含む約60名の方々が参加しました。テントで折り紙ワークショップが行われ、柿の木の苗木を片手に庭園内の植樹場所までベルを鳴らしながら行進しました。植樹会場には昔からお祭りの時に使用される三角の旗が飾られています。実行委員から海老沼先生のメッセージが読みあげられ、柿の木風呂敷を贈呈しました。植樹はこども達の手で行われ、柿の木の周囲にはワークショップで撮影されたメッセージを持つこども達の写真を切り抜いたものが立てられています。雨の多いベルギーですが、植樹式の間は天気もくずれず、無事植樹式を終えることができました。