役者 嵯峨佳乃
脚本、演出、音響 谷田貝誠吾
アーティスト 木谷安憲
2007年2月26日の植樹以来,唐子小学校では、毎年、3年生を対象に「被爆柿の木2世」のことを伝えていくため、アーティストの木谷安憲さんのワークショップが、東松山市役所の協力のもと、実施されています。
今年は、嵯峨佳乃さんの独り芝居「風のアリア」と木谷さんのワークショップがコラボレーションという形で実現しました。体育館に集まった3年生、2クラスの児童たちは、まずクラスごとに2007年に植樹した「被爆柿の木2世」を見学。子どもたちの中には、この柿の木のことを初めて知った子も多かったようです。
その後、嵯峨さんによる「風のアリア」が上演されました。このお芝居は演出家、谷田貝誠吾さんによってつくられた「被爆した柿の木」の一生を描いた作品です。嵯峨さんは、体育館の舞台には上らず、子どもたちを床に座らせて、芝居をはじめました。谷田貝さんは音響を担当、汽車の音や、子どもたちの声、小鳥のさえずりなどにより、体育館は一変。長崎の柿の木が生きている場所になり、子どもたちは「被爆柿の木」の物語を最後まで真剣な顔でみていました。
そして、その後、もう一度 柿の木を見て、各クラスの教室に移動しました。子どもたちからは、この柿のお母さんがさっきのお芝居の木なの?という質問がでました。
教室では、今日見た「風のアリア」の中で自分が一番心に残ったシーンを描こう! という木谷さんの呼びかけで、子どもたちは絵を描き始めました。原爆を受ける前の元気な柿、傷ついた柿の木、柿の木が生きてきた庭の様子、柿の木を取り囲む元気な子どもたちなど、子どもたちにとって、柿の木の役になりきった嵯峨さんは柿の木にしか見えなかったのか、不思議と嵯峨さんを人として描く子はいなくて、ほとんどの子どもたちが柿の木とそれを取り巻く世界を描いていました。
最後に、嵯峨さんと谷田貝さんに教室に来てもらい、木谷さんの指導のもと、子どもたちが一人ずつ、自分の書いた絵について説明しました。
子どもたちにとって、校庭に立っている柿の木が身近に感じられた一日だったのではないでしょうか。